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【社労士監修】電子申請義務化とは?中小企業への導入時期や対応方法を徹底解説
電子申請義務化とは

都道府県労働局や年金事務所からのリーフレットなどで「電子申請」という言葉を目にすることが急に増えてきました。

電子申請の義務化が、大企業から進んできています。

未だ、中小企業では義務化されてはいませんが、いずれは電子申請を導入しなければならなくなるでしょう。

そこで今回は、中小企業への電子申請の導入のタイミングや、対応方法を解説していきたいと思います。

 

電子申請義務化とは

電子申請とは

電子申請義務化とは、行政手続きのコスト削減のために社会保険・労働保険に関する一部の手続きを電子化することを義務づけるものです。

電子申請義務化については、2019年4月24日に内閣府で行われた会議の内容をまとめた資料「行政手続コスト削減について(見直し結果と今後の方針)」の中で、詳しく述べられています。

大企業(資本金が1億円超えの法人など)における電子申請義務化は、2020年4月から適用されており、すでに多くの企業が電子申請を導入しています。

中小企業では、電子申請がまだ義務化されていませんが、いずれは義務化されるようになるでしょう。
電子申請のメリット、デメリットを理解した上、今のうちから電子申請導入の準備をしておいて損はありません。

 

電子申請義務化 中小企業への導入はいつからか

電子申請義務化 中小企業

2019年4月24日に内閣府が発表した資料、「行政手続コスト削減について(見直し結果と今後の方針)」では、電子申請の義務化が中小企業は対象外でした。

また現段階で、中小企業の電子申請義務化がいつ導入されるかは未定の状況です。

しかし、厚生労働省が発表している資料『「行政手続コスト」削減のための基本計画』によると、「上記の義務化の要件に該当しない事業所についても、あわせて電子申請への移行を促すこととする」とのことです。

そのため、電子申請義務化は今後、大企業(資本金が1億円超えの法人など)だけでなく中小企業も対象になる可能性があります。

 

電子申請義務化への罰則

電子申請義務化 罰則

たとえ、電子申請義務化の対象企業が電子申請を行わなかった場合でも、罰則は特にありません。

しかし、対象企業が電子申請以外の方法で申請を行っても受理されない可能性が高いと考えられます。

ただし、電子機器の不具合や通信障害などやむを得ない事情で、電子申請ができない場合に関しては、電子申請以外の申請方法も認められています。

電子申請を行わなくても罰則はなく、例外的に電子申請以外の申請方法が認められるパターンはあるものの、電子申請義務化の対象企業は電子申請の利用が原則であることを頭に入れておきましょう。

 

電子申請義務化の対象となる手続き

電子申請義務化 手続き

電子申請義務化の対象となる手続きは、社会保険・労働保険の一部手続きです。

それぞれの部門によって対象となる手続きが定められているので、どの手続きが対象なのか、把握しておきましょう。

電子申請義務化の対象を以下にまとめました。

<厚生年金保険>

・被保険者賞与支払届
・被保険者報酬月額算定基礎届
・70歳以上被用者算定基礎・月額変更・賞与支払届
・厚生年金被保険者報酬月額変更届

<健康保険>

・被保険者賞与支払届
・被保険者報酬月額算定基礎届
・健康保険被保険者報酬月額変更届

<労働保険>

・労働保険概算
・増加概算
・確定保険料申告書
・石綿健康被害救済法一般拠出金申告書

<雇用保険>

・雇用保険被保険者資格取得届

・雇用保険被保険者資格喪失届

・雇用保険被保険者転勤届

・高年齢雇用継続給付支給申請

・育児休業給付支給申請

 

電子申請導入のメリット

電子申請義務化 メリット

電子申請を導入することにより、人事労務担当者の行政手続きコストが削減されるというメリットがあります。

電子申請導入の具体的なメリットとしては、以下のようなことが挙げられます。

①申請時間を気にせずに休日や祝日を問わず、24時間いつでも申請できること、②申請場所の縛りがなくなり通信環境さえあればどこからでも申請できること、③紙の書類を持ち運ぶ必要がなくなることで紛失や盗難などのリスクを抑えられること、④書類の郵送コストや行政窓口での待ち時間等、申請書類を提出するための時間やコストを省くことができること、⑤保険料などを電子納付できること、などがあります。

電子申請の導入が進めば、上記のように手続き業務に関するコストを大幅に減らすことができるので、業務の効率化を図ることができます。

 

電子申請導入のデメリット

電子申請義務化 デメリット

電子申請導入にはメリットもありますが、もちろんデメリットもあります。

電子申請導入のデメリットとしては、以下のようなことが挙げられます。

①利用環境の整備や担当者が電子申請の手順を把握するために、事前準備の時間やコストが必要なこと、②現状、一部の手続きが電子申請に対応していないため、一部は紙で申請しなければならないこと、などになります。

電子申請を導入するためには、電子申請を利用できる電子機器やネットワーク環境などを整えることと、担当者が電子申請化について学習できる時間を確保することを頭においておきましょう。

 

電子申請をするための3つの方法

電子申請義務化 方法

電子申請をする方法は3つあります。

それぞれにメリット・デメリットがあるので、ご自身の会社にあった方法を、選んでみてください。

では、ここからは、電子申請をする方法を3つご紹介します。

 

e-Gov(電子政府の総合窓口)や日本年金機構の無料ソフトを利用する方法

e-Gov(イーガブ)とは、政府が運営するweb上のポータルサイトで、ほとんどの社会保険・労働保険に関する手続に対応しています。

e-Govの利用方法は、 e-Govが提供している無料のソフトをインストールし、あとは画面の指示通りに必要情報を入力するだけです。

原則として電子証明書が必要とされていますが、2020年11月のリニューアルによって電子証明の省略が可能になった手続きも多数あります。

電子証明を省略したい場合は、無償でGビズIDを作成し、電子証明の省略が可能な手続や省略方法などを確認しておきましょう。

届書作成プログラムは、日本年金機構が無償で提供しており、この届書作成プログラムを利用することでも電子申請を行うことができます。届書作成プログラムを利用する場合、電子証明書は必要なく、GビズIDを認証に使用します。

 

APIと連携可能な人事労務管理ソフトや給与計算ソフトを利用する方法

APIとはApplication Programming Interface(アプリケーション・プログラミング・インターフエース)の略で、申請データを外部のソフトから受け渡しする窓口のような役割を果たします。

APIを利用することにより、上記のeーGovのポータルサイトから入力することなく、ほかのwebサイトから申請が可能になりました。

APIと連携可能な人事労務管理ソフトや給与計算ソフトであれば、現在使用している有料ソフトウェアのデータをそのまま使って、自動的にe-Govを経由して、電子申請をすることが可能です。

 

社会保険労務士等の専門家に依頼して電子申請する方法

現在、社会保険労務士等の専門家において電子申請は一般化してきており、フェニックスマネジメントにおいても迅速かつ正確な事務処理を推進するため、電子申請を積極的に導入しています。

中小企業においては、大企業と違い、事務量がそれほど多くないため、高価な人事労務管理ソフトや給与計算ソフトを導入してまで、電子申請を推進する必要がないのかもしれません。

電子申請が義務化された場合においても、申請業務を委託した社会保険労務士等が電子申請を行えば、電子申請の義務を果たしたことになりますので、安心です。

 

まとめ

本記事では、電子申請義務化とは何か、中小企業への導入時期や、電子申請導入のメリット・デメリット、電子申請の導入方法などを解説しました。

電子申請義務化は、行政手続のコスト削減を目指して定められたものです。中小企業ではまだ義務化されていないものの、すでに大企業では義務化され、多くの企業が電子申請化を導入しています。

電子申請を導入すると、社会保険・労働保険の申請手続の一部がいつでもどこでも行えるなど、人事労務担当者の手続きコストが削減されるというメリットがある一方で、利用環境を整えなければならないなどといったデメリットもあります。

現段階では、中小企業はまだ電子申請義務化の対象ではありませんが、将来的には中小企業でも電子申請化が義務付けられることが予想されますので、今から電子申請義務化に備えておきたいものです。

ぜひ本記事を参考に、電子申請導入に向けて準備を進めておいてください。

 

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